現在の子育て事情と絵本講師の役目

超少子化の時代、絶対的な需要の減少により危ういと言われていた育児市場も子ども一人にかける費用の増加によって、いまだ“不況に強い市場”として安定しているようです。そのような中で、「便利育児グッズ」ともいうべき新しい商品が次々と開発されています。
  また、幼児教育についても低年齢化が進み、ビデオやパソコンなど様々なメディアを駆使した教材が出回っています。ゆたかな時代になりましたが、反面、一種の危惧を感じてしまいます。
  私たちNPO法人「絵本で子育て」センターは、絵本で子育てすることの楽しさを子育て中の母・父親たちに語ることのできる人材を育成するために、「絵本講師・養成講座」を開講して5年目を迎えました。その講座活動を通じて、多くの若いお母さん方と出会いますが、子どもとどう接して良いのか分からず困惑し、苦痛さえ感じている方が増えてきたように思います。社会的に見ても、「育児ノイローゼ」という言葉が一種の流行のように使われており、虐待を含む子どもたちにかかわる悲惨な事件が頻発し、社会全体に不安感を与えています。

 便利保育グッズにしても幼児教育にしても、子どもとどう接すればいいか分からないところからくる焦燥感、不安感を物質的な面で補完しようとする一つの手段になっているような気がしてなりません。自分の子どもに物質的な充足感を与え、それで何となく、「わが子のために何かしてあげた」という気持ちになってしまうのです。また、その気持ちを深く探っていけば、親自身の欲求・欲望に行き当たることは想像に難くありません。
  物質的な豊かさは大いに結構です。でも本当は、それ以前に与えなければいけない、もっと大切なものがあるのではないでしょうか。乳幼児期の子どもにとって、最も身近な存在である親と触れ合うことは、これから人生を生きていくうえでとても大切なことなのです。お母さん、お父さんの肌や声に包まれ、心から安心できる「子どもの時間」を過ごすことによって、子どもは自分がかけがえのない存在であることを確認し、同時に他人を大切にしようという気持ちが芽生えていくのではないでしょうか。

 昔は当たり前のように行われていた親子の心の交流が、現代社会において失われつつあるように思われます。子どもたちの心を育てるのは、決して「モノ」ではありません。心を育てられるのは“こころ”だけなのです。
  私たちは、そんなお母さん方に絵本を使った子育てをお勧めしています。毎日、たとえ一冊でも、たとえ数分ですも、お膝で絵本を読んであげることによって、自然と親と子が肌を触れ合わせ、心を通わせる時間が生まれてきます。そうした時間の積み重ねこそが、子どもの心を育む一番の栄養素なのです。現在、様々な便利育児グッズが売り出され、私たちを助けてくれています。ただ、その“便利さ”とは、親が子どもに関わらなくても済むということも意味しています。楽だからいいよね、と簡単に手に取ってしまう前に、少しだけ考えてほしいのです。その便利さによって、逆に失われてしまうものがあるのではないだろうか、ということを。

 親に向かって子どもたちが懸命に伸ばしてくる手が、本当に求めているのは「何か」ということを、若いお母さん、お父さんの心に訪ねるのが、私たち絵本講師の役目なのです。

森 ゆり子
(NPO法人「絵本で子育て」センター理事長)

● お知らせ 
NPO法人「絵本で子育て」センター主催
第7期「絵本講師・養成講座」受講生募集

〜〜 お母さん方に圧倒的共感 〜〜

森 ゆり子(「絵本で子育て」センター理事長)
待望の絵本「講演録」出版!!

森 ゆり子講演録 「絵本を読んであげましょう」
NPO法人「絵本で子育て」センター主催の「絵本講師・養成講座」の講演をはじめ、おもに08年に行われた講演の草稿を大幅に加筆、修正し、再構成しました。

書名  森ゆり子講演録
      「絵本を読んであげましょう」

著者  森ゆり子

発行  NPO 法人「絵本で子育て」センター
定価  1,200 円(税込)

体裁 四六判 ソフトカバー 140 ページ(予定)


絵本を読む 森 ゆり子

 

NPO法人「絵本で子育て」センターを応援してくださる方々(敬称略)

・梅田 俊作 (画家・絵本作家)
・中川 正文(大阪国際児童文学館名誉館長・作家)
・松居  直(児童文学家)
・片岡 直樹(川崎医科大学名誉教授・ Kids21子育て
         研究所所長)

・飫肥 糺(批評家・エッセイスト)
・しみずみちを(絵本作家)
・浜島代志子(作家・劇団「天童」主宰)
・柳田 邦男(ノンフィクション作家)

最終更新日 2010.09.01

第7期 「絵本講師・養成講座」
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★飫肥糺の新刊本★
中川正文氏の本

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* 出版情報 Information *
NPO法人「絵本で子育て」センター
梅田俊作・佳子が見つけた
「子どもの時間」「子どもの楽園」

『おかあさんも
 ようちえん 』

梅田俊作・佳子さく
定価1500円 (税込)


27年ぶりのコンビでの制作。
待望の新作絵本!
『きつねやぶの
 まんけはん』


作/中川正文・画/伊藤秀男
定価1500円 (税込)

飫肥糺(おび・ただす)が絵本の
名作40冊を読む。魂をゆさぶる
珠玉のエッセー
『たましいをゆさぶる
 絵本の世界 』


飫肥糺・著
定価840円 (税込)






『絵本で子育て』センターは
『ほるぷこども図書館』
推奨しています。


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